≫ 第3回 クオーレ・ド・オペラ 2015 『 蝶々夫人 』 ほか 2015/09/11~ 記事はこちらから。
ボエーム プッチーニ オペラ 『 ラ・ボエーム 』 2014
第2回 『 クオーレ・ド・オペラ 』 公演 in イタリア文化会館
プッチーニ 歌劇 『
ラ・ボエーム 』 原語上演 / 字幕付き
≫ わかる!オペラ情報館 ( オペラ あらすじ ) 『
ラ・ボエーム 』
8月29日(金) 18:30 竹之内 淳子 ミミ
新海 康仁 ロドルフォ ≫
ブログ 小林 大祐 マルチェッロ
中江 早希 ムゼッタ
田中 俊太郎 ショナール
氷見 健一郎 コリーネ
小田川 哲也 ベノア / アルチンドロ
志田 雄二 パルピニョール
8月30日(土) 14:00 藤谷 佳奈枝 ミミ ≫
ブログ 宮里 直樹 ロドルフォ
杉浦 隆大 マルチェッロ
佐藤 優子 ムゼッタ ≫
ブログ 片山 將司 ショナール
岩田 健志 コリーネ ≫
ブログ 小田川 哲也 ベノア / アルチンドロ
江頭 隼 パルピニョール
8月31日(日) 14:00 ( 8月29日(金) と同一キャストです。 )
竹之内 淳子 ミミ
新海 康仁 ロドルフォ
小林 大祐 マルチェッロ
中江 早希 ムゼッタ
田中 俊太郎 ショナール
氷見 健一郎 コリーネ
小田川 哲也 ベノア / アルチンドロ
志田 雄二 パルピニョール
クオーレ・ド・オペラ アンサンブル
山口 佳代 ピアノ
平田 昌平 チェロ
三木 希生子 ヴァイオリン
中島 福宣 バンダ
クオーレ・ド・オペラ 合唱団
内田 智子
中川 越百 藤村 佐和子
矢口 智恵 新井 健士
伊東 大智
指揮 マッテオ・ヘルファー
演出
井田 邦明照明・舞台 村田 和子 ( NPO ら・ら・ら )
衣装 中埜 愛子
衣装補佐 中井 尚子
小道具 中井 尚子
字幕 田中 未来
印刷デザイン
矢口 智恵 ≫
facebook副指揮 澤村 杏太朗
音楽スタッフ
田村 ルリ 石塚 幸子 林 正浩 原田 玲奈
編曲 釜賀 隆寛
言語指導 Chiara Di Dino キアーラ・ディ・ディーノ
制作 ケイ・アーツ・オフィス
主催
クオーレ・ド・オペラ 実行委員会 / ケイ・アーツ・オフィス
( お問い合わせ
ケイ・アーツ・オフィス 
047-324-6613 )
08月29日(金) 18:30 08月30日(土) 14:00 08月31日(日) 14:00
於 :
イタリア文化会館 アニェッリホール ≫
アクセス〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-1-30 ☎ 03-3264-6011


ラ・ボエーム 『 クオーレドオペラ 』 2014 浜松公演 ( 静岡文化芸術大学 )09月04日(木) 18:30
静岡文化芸術大学 講堂 ≫
アクセス 〒430-8533 静岡県
浜松市中区中央二丁目1番1号 ☎ 053-457-6111 (代表)
( お問い合わせ : 静岡文化芸術大学
高田和文研究室 )

【 館主敬白 】 以下、
コトバンク から抜粋します。 ボエーム = ボヘミアン ( Bohémien ) とは。 元来はボヘミア人またはボヘミア出身と考えられていたジプシー ( ロマ ) を指すが、転じて1830年の七月王政期にパリに集まった、貧しく しかし自由なその日暮しを送る文学青年や若き芸術家たちの呼称 = 呼び名 ( ボエーム bohème ) となった。
つまり、50年前の
ヒッピー 、 今風に言えば
フリーター とか
プー とかにも通ずる 当時のトレンディー な言葉だったようです。 この物語も、美しく幸薄いヒロインや 貧しくとも情熱にあふれたヒーローも登場しますが、上記ボエームと呼ばれた青年たちの群像と捉える事もでき、そうするとこのオペラに対する想いも、多少異なって来るのではないでしょうか。
と、まぁ、ここまではどの解説書にも記されている事ですが、今回はヒロインの お針子、ミミについて少々。 まず、名前のミミですが、 「 本当はルチアって言うんだけど、どういう訳か皆がミミって呼ぶの。 」 って、オペラの中でご本人がおっしゃってます。 本当はルチアさんです。 それから、ミミの職業 『 お針子 』 ですが、私たちがお針子と聞くと、縫製工場に勤め 衣服を仕立てているように思いますが、やはり彼女の語るところによると 家の中や外で 刺繍をしているのだそうで、今風に言えば請け負いの刺繍職人さん のほうが近いかもしれません。 教会にはあまり行かないけれど、神様にお祈りはしているそうです。 若者たちが暮らす かなり粗末な部屋の隣に一人で暮らし、一人で食事をしているくらいですから、決して裕福な家庭のお嬢さんではない事も想像できます。 屋根の上の空を見てるっておっしゃってますので、ロフト付きワン・ルームと言えば聞こえはいいですが、屋根裏部屋なのかもしれません。 ( 残念なことに 薫りの無い ) ユリやバラを作るのが慰めで … そして 「
でも 、春の最初の光、お日さまの最初の口づけは私のもの。 」 この、『
でも 』 は、屋根裏部屋 = 貧しいけれど、
でも … という事なわけで、その貧しさと健気げさを いっそう際立たせています。
えっとー、これはオペラ冒頭で歌われる、ミミの有名な自己紹介のアリア 『 私の名はミミ 』 の日本語訳そのままです。 Web 上にはもっと格調の高いものがいくらでもありますので、ぜひ、ご自分でお調べ頂きたいと思います。 今回のオペラでも 字幕が付くそうですので、田中未来さんの訳も楽しみです。 このページでは田中さんの訳の邪魔をしないよう、敢えて ダサい 日本語とさせて頂いているのであります。
^^;さて、ボエームと呼ばれた青年たちの群像 という視点ではなく、ルチアさん = ミミの側に立って見つめると、私の想いは日本の明治時代、紡績工場の女工哀史に行きついてしまいます。 資本主義の黎明期、まだ 社員の労働条件とか、ましてや福利厚生とか そういった発想に資本家や政府が至らない頃、口減らしを兼ねて外に出された娘たちの孤独と不安。 どうあがいても、どうにもならない自分の未来。 こうした中で彼女たちは懸命にその日を生きていたわけで … 過酷な労働環境の中で 病に倒れる少女たちも多かったわけで … またまた古い話で恐縮ですが、朝の連続テレビ小説 『 おしん 』 の中の、おしんのお姉さんとミミが、私の中ではどうしても重なってしまい、これはもう どうしようもありません。 どなたかに助けて頂きたいくらいです。
今回のポスター、
モジリアニでしょうか。 その表情がミミの置かれた境遇とその心理をを象徴していて、力のある作品に仕上がっていると思います。 矢口智恵さん、素晴らしいです。 オペラも良く理解されていると思いますし、ミミに対する愛おしみも すごく感じてしまいます。
♫ もし 俺がヒーローだったら 悲しみを近づけやしないのに …
♫ Woo …
翼の折れたエンジェル みんな翔べない エンジェル
最後に、 クオーレ・ド・オペラ という事では2回目の公演らしいですが、このグループはそれ以前からも真摯なオペラ活動を継続されており、それは本当に賞賛に値するものです。 また、キャストもこれからのオペラ界をしょって立つ超・優秀なメンバーです。 アンサンブルも、ささやかではありますが ( 今年はクラリネットの方が参加されていないのが 何とも残念ですが ) 、 ずーとこのグループを支援してきた方々です。 つまり、このグループだから集まった、超・優秀メンバーの手作り、手弁当オペラなのです。 会場で、ぜひ その意気込みを感じ取って頂ければと思います。
【 館主つぶやき 】 ここで YouTube を出すのは出演者に大変失礼な事かとも思うのですが … 例え字幕付きだとしても、慣れない日本人にとって 言葉の壁もありますし、予習をすれば オペラを数倍楽しんで頂ける事は確実です。 オペラとしては低価格設定とは言え、決して気軽に出費できる金額とも思えない公演に わざわざ来て頂くのですから、充分楽しんでお帰り頂きたいです。 ここは欄外ですし、そういう事で お許し頂きたいと思います。 上記、本ページ上にリンクを貼ってある
Wiki や
情報館、
MET・Live のページも併せて ご活用頂ければ、この上ない幸せです。
えー 、 上記と重複するんじゃが … 1830年代のパリ、格安アパートの最上階に四人の若者が住んでおったんじゃ。 この頃はエレベーターなど無く、最上階の家賃が一番安いんじゃな。
ロドルフォ ( 詩人 ) ← ちょっと マザコン気味のところもありますが、この人がヒーローです。
マルチェッロ ( 画家 ) ← 画家さんですからね。 美しいものをこよなく愛しちゃうんですね。
ショナール ( 音楽家 )
コルリーネ ( 哲学者 )
当時パリでは、貧しく、しかし自由なその日暮しを送る文学青年や若き芸術家たちを ボヘミアン = ボエーム などと呼んでおったんじゃが、彼らもそんな ボエーム たち だったんじゃ。
ある クリスマス・イヴの晩、街へ繰り出そうと仲間たちが部屋を出て行き、ロドルフォが 一人残っている部屋に、隣に住んでいる若い女性 ( はぁー 、 若いっつーのは それだけで価値のあるものなんだぞい。 ) が ローソクの火を借りにやって来るんじゃが …
ちなみに、わが国での1830年代と言えば、江戸後期 天保年間。 数年にわたり 10万人単位の餓死者を出したと言われる、後世に語り継がれる天保の大飢饉が起こっておったり、水野忠邦が天保の改革を強行し、 『 火付盗賊改方、長谷川平蔵 = 鬼平犯科帳 』 『 鳥居妖怪 = 鳥居耀蔵 』 『 遠山の金さん = 遠山金四郎景元 』 などが活躍していた時代じゃのぅ。 支那ではアヘン戦争が起こっておった頃じゃ。
おぅ、 話が逸れてしまった。 それでは いよいよ 物語を始めようかのぃ。
* * * * *
最初の3画面は、オペラ冒頭のヒロインとヒーローの出会いの場面です。 素朴な作戦、つまり ヒロイン = ミミ が落としてしまった部屋のカギを 暗闇の中で探すふりをして、彼女の手に触れた ヒーロー = ロドルフォ は、彼女の手の冷たさに驚きます。 クリスマス・イヴ という設定なので、寒いという事もありますが、ミミがすでに病に侵されている事も予感させるシーンです。
男の子、やるときにはやらなければなりません。 手を触れた瞬間、指先から体へと強い電撃が走り ( たぶん ドーパミンなんかが
どどっ と溢れ出したんでしょうね ) 2人は恋に落ちます。 2時間のオペラなので、リアリティーとか、小難しい事を言うのは無しです。 ただ、私の個人的な希望は、触れた手の 小ささ や 冷たさ が鍵刺激 ( key stimulus ) となって、まずはロドルフォのドーパミンが
どどっ と溢れ、思わずその手に力が入ったりなんかして、 今度はそれが鍵刺激の連鎖となってミミのドーパミンが溢れ出す、そこの機微というか、 間 ( 以心伝心とも言いますね ) を、演者も演出者も大切にして頂きたいです。 この場面の美しさ、貧しさ、静謐、格調で、このオペラの全てが決まってしまいます。 オペラ歌手だからと言って 歌さえ上手けりゃいいってもんじゃありません。 ダサい演技は厳禁です。 本当に慎重に、悩んで考え抜いて 本番を迎えて頂きたいです。 あまり ひどかったら、みんなで途中退席してしまいましょう。
( だからぁ

ミミがわざと鍵を落としたんじゃねぇの? とかっつーのは、今回 は無し! )
てなわけで、二人はまず、それぞれ 自己紹介をします。 好きな相手の事をなるべく多く知りたい と思うのは、ごく自然な成り行きですよね。 「 売れない詩を書いてるんだ 」 とか 「 本当はルチアって言うんだけど、何故か皆にはミミって呼ばれてるわ 」 とかです。
3番目の画面は、クリスマス・イヴ に繰り出そうと、先に部屋を出て行った仲間たちが、階下から ロドルフォ に、「 おーい、まだかぁ? 何やってんだぁー! 」 と声をかけるのですが、二人はそれどころではなく、熱くハグを交わす、抱擁の場面ですね。 頑張って! ロドルフォ 君!
もう一つ、アリアの場面でのプッチーニのオーケストレーション、とくに弦楽器の甘い流れ、 『 ある晴れた日に 』 なんかもそうですが、その 突き刺さるように官能的なのも、ぜひ お聴き逃しなく。
ちなみに、8月30日に出演される
宮里直樹さんは、6日後の9月05日、
NHKホールで同じ3画面を歌われます。 共演は
小林沙羅さん。 N響。 尾高忠明。 オペラではなく、演奏会形式のコンサートですが、それはそれで 集中して歌を聴かせて頂けます。 併せて こちらも お楽しみに。
さて、このオペラには もう一人、超・個性派キャラのソプラノ歌手さんが登場します。 役柄からして たいがい美女です。 解剖学的にも動物行動学的にもホモサピエンスの
♂ である私は、 ムゼッタ役をどなたが演じるのか、いつも大変気になってしまうのであります。
ムゼッタさんは、ロドルフォの友人の一人、画家のマルチェッロの
元カノ なのですが、今は金持ちのアルチンドロとの援助交際で暮らしています。 パッと見には大変享楽的なキャラクター付けがなされていますが、 それは彼女の割り切りからきているだけで、本当はピュアで真摯、ミミの本当の理解者、友人である事が徐々に明らかになってきます。
元カレのマルチェッロの事も まだ気になっている様子。 ちょっとした口喧嘩の成り行きで こんな事になっちまったんでしょうかねぇ。
ここで彼女は、 「 私が街を歩けば、人々が皆 ( 私の美貌に ) 立ち止まる。
服の中まで透かし見るような 熱い視線を浴びる。 気分いいわ! 」
なぁ ~ んちゃって!
^^; 元カレの マルチェッロ にあてつけます。
( 女性の本質って 怖いですねー。 こんな事、誰も知らされないうちに、
坊ーやたちは配偶者を迎えてしまうんですねぇ。 くわばら、くわばら。 )
上記3画面とは別の公演なのでキャストが変わってしまい、誰が誰やら分からなくなってしまいましたが、 中央で赤い服を着て歌ってるのがムゼッタさんですね。 それから …
0:22 いまいましそうに座っているのが、元カレの画家、マルチェッロ
1:52 ムゼッタさんの奔放ぶりを持て余し気味の金持ち、援交相手の アルチンドロ
2:14 事の成り行きを面白がっている ロドルフォ (左) と、ハラハラ見ている ミミ (右)
アルチンドロさんに 「 もういい加減にしなさい! 」 なんて言われても意に介さない ムゼッタ。 もうすっかり援交相手を手玉に取っています。 「 ねぇ パパァ、 靴がきついの 」 なぁ~んて甘い声を出し、彼を靴屋に行かせ = 追い払ってしまいます。 ね、素敵でしょ。
5:27 やはり ロドルフォ の友人、ショナール ( 音楽家・左? ) 、 コルリーネ ( 哲学者・右? )
勘定書き を渡たされ、その金額 ( プライスト ) にびっくりしている場面です。
5:38 「 こんな大金、どうすんだ! 」 と、仲間四人で相談しているところです。
( コルリーネさん、さっきから盛んに食べてましたよねぇ。 )
5:57 ムゼッタ が 勘定書き を奪い取り 、
「 後で アルチンドロ が払うから! 」 と、お店の人をなだめ 、
援交相手に支払いを押し付けてしまいます。 やったね!
v(^o^)v この YouTube では、バンダ の場面まで見せてもらえるのがありがたいですよね。 百聞は一見に如かず、6:50 頃から現れる楽隊が
バンダです。 ( この映像には現れませんが ) クリスマス・イヴですから、玩具屋のパルピニョールさんが 「 おもちゃ屋のパルピニョールだよ! 」 って連呼し 子供たちが群がってくる場面から、この軍楽隊の行進騒ぎに紛れてムゼッタはじめ若者たちが ( 靴屋に行かされており 何も知らない援交相手 = アルチンドロに酒場の支払いを押し付けて ) 立ち去る ( 逃げ去る? ) 場面までが、このオペラの一番華やかな部分ですので ぜひ楽しんで頂きたいです。 ここが華やかであればあるほど、日頃の若者たちの質素さが際立つのです。
私、このムゼッタのアリアが大好きです。 『
私のお父さん 』 と双璧をなす、プッチーニの My Favorite です。 さらには、
アンナ・ネトレプコ さんも大好きで、ちょっと本筋からは外れますが、ぜひお聴き頂きたく、ここに掲載させて頂きました。 ただし、上の画面の
アイノア・アルテータ (
Ainhoa Arteta ) さんの演奏が気に入らないわけでは決してありません。 この演奏、凄いです。 イタリア語独特の訛り = イントネーションやアクセントなども絶妙で、お薦めは むしろこちらかもしれません。 でも、ネトレプコさんの素直な演奏も、これがまた たまらないんだな。
^^ネトレプコさん、最近は食べ物が美味しいらしくて… 声のためにはいい? 残念だけどなぁ。
超・有名なボエームの映画版です。 通して見て頂けるので 貼りましたが、個人的には気に入っていません。 ネトレプコさん、ミミ には妖艶で美しすぎます。 歌も演技も、ミミ には濃過ぎると思います。 明治時代の女工哀史のヒロインは吉永小百合さんや田中裕子さんであって、松坂慶子さんではないと思うのです。 例え私が、個人的にはネトレプコさんの大ファンであったとしても。
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